今回のツアーはWAVE RANGERSのゴリさんが企画したもので、つっぺり隊が主催ではないのだが、つっぺり隊から5人もの参加者があり、また、つっぺり隊らしい成果があったので報告したいと思う。 ゴリさん所属するWAVE RANGERSはホワイトウオーターでの瀬遊びや海岸でのサーフカヤックを中心に活動しており、今回は長瀞での瀬遊びにワシらが混ぜてもらうということでお願いしたのだ。長瀞初挑戦のワシはもちろんインフレータブルを積んで行った。初挑戦のホワイトウオーターで思いっきり轟沈してみたいという轟沈願望もしこたま胸に積み込んで。 |
ところが、3連休の渋滞をやっと抜けて、長瀞カヌーヴィレッジに集合し、さあこれから川に出ようと言うときに、ゴリさんから悪魔のささやきが聞こえてきたのだ。 「隊長、インフレータブルはふくらますの大変でしょ。ポリ艇なら準備いらないよ。やってみない。」 「え!、いやポリ艇は…」 川は下るもの。従って、川下りはインフレータブルかファルトに限る。ポリ艇に乗ることなどまったく考えていなかったワシであったが、このシチュエーションでの悪魔のささやきは有効であった。 |
なぜなら、ワシ以外はほとんどポリ艇であり、午前中はずっと同じ瀬でロールしたりして遊ぶ予定で、川下りは午後からだという。インフレータブルだと瀬を下ったら船を担いで上流に行きまた下るというのを繰り返さなければならない。これは実に大変である。めんどくさいから午前中だけポリ艇で遊んで午後からはインフレータブルにしようかと、ここで悪魔の誘惑にまんまと乗ってしまったのだ。 「じゃあ、お借りします。」 と無謀にも初挑戦の長瀞で、ほとんど初めてに近いポリ艇に乗ることにしたのだが、そもそもこれが長瀞の神様をなめた行為だったのだ。長瀞の神様はしっかりとお仕置きをしてくれたのだった。 |
長瀞は、3〜4級の瀬が続くため、ラフティングのメッカでもある。上流から、次々とゴムボートが流れてくる。しかし、驚いたのは、乗っているのがほとんどが若い女性ばかりだったことである。今の女性が勇ましくなったと言うべきか、それとも、川まで来ても群れたがるというべきか、いやはや何とも…。 | ||
鉄橋下の瀬から捨て身の瀬までに瀬遊びをするポリ艇カヌーイストがたくさん集まっていた。われわれも、早速その仲間入りをする。 右はゴリさんであるが、いやはやうまいものである。 |
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右(真ん中)はつっぺり隊では禁断の技であるロール派の一人である24号ゴステロ隊員。彼もなかなかのものである。 右端はポリ艇が群れる中で、ただ一艘カナディアンで瀬に向かう月刊「カヌーイスト」の編集長。かなり目立っていたなあ。 |
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さて、そんな腕利きが群れなすところへいよいよワシもポリ艇で乗り込むことに。はじめはゴリさんのスライスという船を借りる予定でいたのだが、脚のサイズが合わず体が入らないということで、急遽、つっぺり隊3号ビール艦長のカイツナに乗ることに。 |
左下は慣れないポリ艇で漕ぎ出す直前の画像だが、後ろの子どもが不安そうに眺めていたのが今となっては象徴的である。ワシも不安ではあったのだが、ホワイトウオーターの洗礼を受けて身も心も洗われたいという轟沈願望があったので、瀬は全く怖くなかった。というよりこの時はポリ艇で沈した時の大事な事に全く気がついていなかったのである。いわゆる怖いもの知らずである。 |
轟沈したいという気持ちで瀬に突っ込むと、いや白波の気持ちいいこと。ほとんど遊園地のウオータースライダー状態で両手を挙げて突っ込んでも全く無問題で2級の瀬も乗り切ってしまった。 「なんだ、長瀞も大したことないな。ホワイトウオーター恐るるに足らず。」とビール艦長に宣言して、この後も上流に船を担いでいっては瀬に突入を繰り返したのだ。 しかし、やっぱり長瀞の神様はこういうなめた発言は聞き逃さないんだよねえ。 |
昼に勉強屋で大盛りそばをいただいてから、ラフティングや長瀞ライン下りの遊船と同じコースを下っていくことになった。予定では午後はインフレータブルで下るつもりでいたのだが、午前中の瀬遊びですっかり長瀞をなめきっていたワシは長瀞最大の難所である小滝の瀬(右)が待ちかまえているにも関わらず、午後もポリ艇で挑戦することにした。しかし、ここでワシはしっかりと長瀞の神様にお仕置きを受けることになったのだ。 |
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小滝の瀬を攻める前に下見をしてルートを確認してから、写真班を配置して、それぞれ突入することになった。何度も長瀞を経験しているみんなはうまいものである。左からゴリさん、江戸川朝練隊のマサヤン、つっぺり隊24号ゴステロ隊員。誰も沈せずに乗り切った。みんなかっこよすぎるぞー。 しかし、期待を裏切らなかったのが、我がつっぺり隊創生期からの古株隊員であるビール艦長であった。その見事な沈に「さすがつっぺり隊」と拍手が起こる。 |
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ビール艦長の轟沈シーンをしっかりとカメラに収めてから、いよいよワシと27号きみとも隊員が突入することになった。 しかし、今か今かとカメラ班が待ちかまえているところに流れてきたのはワシの船だけ。 「何だ、何だ。隊長はどうしたんだ。」 とみんなが?マークを連発しているところに、ワシは対岸を歩いて登場する羽目になってしまったんだよねえ。 |
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何とワシは、小滝の瀬に突入する前に、流れの本流に乗ろうとして方向転換しようとしたところで、あえなく粗沈をしてしまったのだ。トホホホ…。 悔しいから、このまま体だけで小滝の瀬を乗り切ってやろうかとも思ったのだが、数m流されただけで、足や尻に当たる岩が痛いの何の。こりゃだめだと岸に上がって、結局歩いて小滝の瀬をパスすることになってしまったのだ。なんとも情けない。 |
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しかし、ポリ艇で沈をして初めて気付いたのが、ポリ艇は沈脱をするためにはスプレーカバーを外さなければならないということ。よく考えれば当たり前のことなのだが(よく考えなくても当たり前か)、今まではインフレータブルとファルトしか乗ったことがなかったので、沈してもそのまま脱出ができたのでそのことに全く気付かなかったのだ。 沈した場所は浅く、水面が目の前に見えるのに体が出ていかない。なぜなんだ?と?マークを連発するのだが、水はがぼがぼ飲むし、マジでこりゃ死ぬかもと思いながら、夢中で体を船から無理矢理引きはがしなんとか水面に顔を出して事なきを得たのだった。 |
しかし、そんなことにも気付かずに、長瀞初挑戦で初挑戦同然のポリ艇に乗り、難所の小滝の瀬に突入しようとしていたのだから、全く恐ろしいものである。瀬に突入する前に沈をしていて良かったのだ。あのまま小滝の瀬に突入して、そこで沈していたらどうなっていたか。もしかしたら、ワシは長瀞の神様に命を救ってもらったのかもしれない。 「そんな実力で長瀞に挑戦するなんて10年早いぞ。今回は勘弁してやるからもっと腕を磨いてきな。」そんな長瀞の神様の声がワシにだけは聞こえたような気がする。 |
結局、この後は「沈をしたらまずい」という怖さにおびえ、轟沈願望などすっかり影を潜めてビビりまくって腰が引けてしまい、なんでもないところでまた粗沈を1回して水をしこたま飲んでますますへっぴり腰になり、「もう瀬はいいから早く上陸したいー」と叫びながら、さんざんな思いで長瀞初挑戦を終えたのだった。長瀞の神様、すみまっしぇ〜んでしたあ。 |
夜はキャンプ場が満員だったため、急遽河原でキャンプすることに。イモ洗い状態の満顔の湯でとりあえず水垢を落とし、キャンプ場に戻ると、千葉から来たリュウさんたちと合流。 みんながインスタントの簡単や食事を取る中、ワシとビール艦長で作ったラタトゥユは好評であった。 昼の暑さがまだ残る中、焚き火だけは欠かさずガンガン燃やす。 みな経験豊富なカヌーイストなので、愉快な体験話で夜は更けていった。 |
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翌日は、朝から見事な天気。実に気持ちがいい。今日は昨夜遅くに到着した23号Terra隊員とともに、不沈艦エアーでのタンデムで長瀞にリベンジである。 鉄橋下の瀬も難なく乗り切る。昨日とは全く違う安定感に改めてインフレータブルのすごさを知る。 |
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リュウさんはみんなにリクエストされて流れに飛び込んでは溺死体のようにプカプカを繰り返す。 ワシとビール艦長組はのんびり瀬遊びをしながら下るゴリさん達に別れを告げ、小滝の瀬へとリベンジに向かった。今日は不沈艦での挑戦であるから、負ける気がしないのだ。 |
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昨日あれほど怖かった瀬も全く問題なく、両手を挙げてソリがジャンプするように豪快に小滝の瀬をクリアしてしまった。 やっぱり川は豪快に下るに限ると改めてツーリングカヌーのよさをかみしめながらリベンジを果たす。 ビール艦長も見事に今日はリベンジを果たす。 |
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ビール艦長とは小滝の瀬で別れ、その後はterra隊員とゴールまで瀬のスリルを楽しみながら下り抜けた。 あっという間に下ってしまったので、もう一度上流に船を運び、3度目の長瀞下りを楽しむ。途中の谷間ではプカプカと体だけで流される浮遊体験をしたりしながら、空の青さを楽しんで、最高の気分で長瀞下りを終了したのだった。 |
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今回のツアーの教訓は、やはり川をなめてはいけないと言うこと。気持ちの持ち方次第で、瀬の楽しさや怖さというのはあんなに変わるものかということを痛感したツアーでもあった。しかし、ポリ艇に乗る前には、しっかり沈脱の練習をしてからでないといかんということも肝に銘じておこう。 |