DRIFTING ON THE NAKAGAWA
福島県金山町のど田舎山村農家でつっぺり隊初合宿 04.7.31〜8.1
秘境の湖
 つっぺり隊夏の湖ツアーは二転三転した結果、埼玉のシゲさんの申し出に甘え、シゲさんが福島県金山町に借りている山村農家に宿泊しながら沼沢湖で実施することになった。つっぺりツアーでキャンプをしないのは初めてのことである。しかも、昔ながらの農家に泊まり込むということで、いきなり合宿の様を呈することになった。
 沼沢湖は会津地方の南部に位置する山奥の湖である。椎名誠監督の映画『あひるのうたが聞こえてくるよ』の部隊になった湖でもある。
 今回の合宿参加者は、コースケ隊員&姪のあかねちゃんと千種ちゃん、ろーたす隊員父娘、菊池財務部長、ワシ、そしてシゲさんである。
 沼沢湖は南東部にキャンプ場がある以外は殆ど人の気配のない静かで澄んだ水を持つ素晴らしい湖であった。北部〜西部にかけては、湖に出る道路もないのがいい。
 ワシらは、その北東部の湖岸から到着順に湖面に乗り出したのだった。
 今回のカヌーで、実に残念だったのが、コースケ隊員のウッドカヤックである。
 前回の那珂川ツアーでは、乗り出して数mで見事に沈をした素晴らしい安定の悪さを誇ったカヤックだったのだが、アウトリガーを取り付けたことで、沈する気配の全くないつまらない、いや、素晴らしい舟に変身してしまったのだ。アメンボのように湖面を滑るコースケ隊員の姿が実にうらめしかった。
 そのうち、全隊員が到着し、シゲさんの案内で、カヌーでなくては行けない湖の北側の探検に乗り出した。
 

案内役のシゲさん
透明度がすこぶるよく、岸辺沿いにカヌーを進めると、湖底がはっきりと見え、実に気持ちがよい。
 しばらく行くと、シャチとイルカの群れに遭遇した…と言うわけではなく、おそらくビニルマットがキャンプ場から風に乗って流されて来たのであろう。シャチをあかね&千種姉妹が、イルカを菊池財務部長が我先にと回収をして舟に乗せたのだが、「イルカを乗せた中年」はなかなか絵になる。
 湖探検が終わると、みなライジャケをつけたまま湖に飛び込み、プカプカと漂い出す。この浮遊感覚が何か妙に懐かしく、気持ちが良くて止められない。
 中には、ビニルマットにしがみついて遊んでいるいい大人もいたが、何のてらいもなく、こうしてすぐ童心に返れるところがアウトドアのいいところだ。
つっぺり隊夏の宿 
シゲさんの山村山荘は、いわゆる古き良き時代の田舎家が山奥の小さな集落の中にそのまま残っている実に趣のある家であった。
 1階は、雪深い土地のため、窓には雪除けの板が打ち付けられていたが、2階は採光も風通しも良く、吹き抜けていく山合いの風が快い。
 ただ、一つだけ普通の農家と違っていたのは、奥の座敷の部屋にシーカヤックとカナディアンが座布団の上に鎮座していたことである。
 しかし、この不自然な舟の配置が、返ってこの家の個性を生み出していておもしろい。
夕飯の買い出しを兼ねて、温泉まで歩いていく。この山道を降りきった所に町営の八町(はちまち)温泉があるのだ。 八町温泉は、野尻川に面した国道沿いにあり、100円の寄付金で自由に入れる。 温度が43度とかなり熱かったが、肌に良さそうな泉質で、質素な造りも味わい深い。もちろんかけ流してある。
 風呂に入ってさっぱりしたところで、夕飯の準備に入る。コースケ隊員が持参した蕎麦打ちセットで、手打ち蕎麦教室を開くわけだったのだが、結局コースケ隊員が一人で汗を流して作っているのをみんなで見ているだけだった。やっぱり下手に手を出すとできあがりが不味くなるからなあ。
 台所では、菊池部長とあかね&千種ちゃんが、野菜天ぷらを揚げて準備完了。
 まずはとりあえずビールで乾杯をして、できたての天ぷら蕎麦をいただく。実にうまい。数十年前にタイムスリップしたような田舎家で、こうして夏の夜をいい気分で過ごすのも、実に心がゆったりとしていいものである。
 翌日はシゲさんが近くの温泉案内や只見川の上流で川下りを考えていてくれたのだが、何とこの地区の除草作業日であったことが分かり、シゲさんは朝早くからそっちに手伝いに行く。
 ただの借家人ではなく、しっかりと地域の人間としてのおつき合いをしているのだ。シゲさんの人間性の素晴らしさにひたすら頭が下がる。
 主のいない家でのんびりした後、ゆっくりと家路についたのだが、近くに湖と川があり、おまけに温泉もある宿なんてそうざらにあるものではない。
 もう、ここはつっぺり隊の定宿にするしかない。で、シゲさんもこの日より、つっぺり隊加入。29号隊員のできあがりである。秋の紅葉も素晴らしそうだなあ…
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