DRIFTING ON THE NAKAGAWA
 えぢそん隊員からメールが届いた。
「隊長、この間長瀞で初めて川下りをやった知人がすっかりカヌーにはまっちゃって、つっぺり隊に入隊したいって言ってるんですよ。だけど、何を勘違いしたのか、つっぺり隊に入るには面接があると思い込んでるんですよね。」
早速、返事を送る。
「ワハハ、それはおもしろい。せっかく勘違いしてくれてるんだから、この際、つっぺり隊初の入隊試験を、近々ある転覆隊ファンの集いで実施しよう。審査基準は、@瀬への突撃度、A十八番料理でいかに感動させられるか。こりゃ、楽しみだなあ。」

うして、2年ぶりのファンの集いが幕を開けた」のであった。
  転覆隊ファンの集いといっても、ここ数年は主催者の沈没隊ママレモン加藤さん以外は、つっぺり隊員が大勢を占めており、宮原に午前中の川下りに集まったのも、隊長(ワシのことね)、えぢそん隊員、ゴステロ隊員、入隊希望のT氏の4名であった。
 腰痛でカヌーに乗れない隊長は陸上部隊に回り、3名で八溝大橋から下ることにする。
 最近、とみにミスターインクレディブル化し、ウエットスーツはおろかライフジャケットを着ることもままならないゴステロ隊員と、威勢よく堤防から滑り落ちるえぢそん隊員に付き添われ、いかに瀬に突撃するかを入隊条件に突きつけられたシングルでの川下りは初体験というT氏がよたよたと地獄への船旅に出撃していったのだった。
 そして、最初で最大の試練がすぐに訪れた。無法松の瀬である。水量もやや少なめで、瀬がきっちりと3段落ちになっており、新人の腕前を試すにはもってこいの状態になっている。ビデオ班(ワシ)もしっかりと新人の沈に備えてスタンバる。
えぢそん、T氏、ゴステロ隊員の順で突入する。
 
えぢそん隊員
 
新人T氏
    
ゴステロ隊員
 えぢそん、ゴステロ隊員は余裕で下りきる。意外だったのが、新人のT氏。よたよたしながらも思った以上にバランス感覚が良く、無難に乗り切ってしまった。
「なんだよ〜うまいじゃねえか。あ〜あ」残念がる隊長。
 しかし、つっぺり隊初の入隊試験はそんなに甘くなかった。下り終わったはずのT氏が浅瀬に船を寄せ、降りて上流に向かって船を引っ張って歩き出すではないか。何をするつもりなんだとみていると、ゴステロ隊員も手伝いはじめ、なんと再び無法松の瀬の上流で船に乗り、瀬に突入を始めたのである。
 えぢそん隊員に「沈するまで何度でも繰り返すからな。」と半ば脅されながら強制され、T氏も喜んで再突撃していったのだった。
 隊員の厳しいつっぺり指導の甲斐あってか、T氏が早くもつっぺり精神に開眼したのか、瀬は無難に乗り切ったものの、その直後にバランスを崩し、見事に沈。ひっくり返った船の底につかまりながら流されていく様は、まさにつっぺり隊員にふさわしい哀愁を醸し出していた。
 
 その後も、新人T氏はつっぺりを繰り返し、第1次入隊試験は難なくパスする。その様子は、付き添ったゴステロ隊員の次の感想でもわかるであろう。
 「新隊員“T”さんのつっぺり魂は素晴らしかったです。きっちりここで転んでくれたらなあと思う場所でやってくれましたよ。」
   1次試験も終わり、車を回収し、買い出しをして戻ってくると、宮原には沈没隊ママレモン加藤さんと、つっぺり隊村長が到着していた。2年ぶりの再会を祝し、まずは、第8回転覆隊ファンの集いが開けたことに感謝の乾杯をする。
そして、各自が十八番料理に取り組み、いつもの満漢全席スタイルのたき火宴会に突入する。
  
   ママレモン加藤さんは、悪書をたき付けに、河原マックと称するフライドチキンとカツフライを作る。これは、この後乱入してきた子供たちには大好評であった。 
    2次試験を兼ねた新人T氏の料理であるが、彼はパスタ料理にチャレンジした。
「隊長、できました。スパゲッティ○△※〒○ボーノです。どうぞ!」 
おもむろに差し出された料理を一口食べた隊長は、
「うーむ、これは・・・・・うまい!合格!」
そのあまりの旨さに、あっさりと合格の言質を与え、T氏はつっぺり隊に入隊を許可されたのだった。
 しかし、その料理名が難しく、ボーノしか覚えられなかったため、いつしかT氏の呼び名はボーノになっていたのだった。こうして、つっぺり隊第41号ボーノ隊員が誕生したのである。
 
 料理に盛り上がっていると、見慣れぬ車が横付けする。だれだあといぶかっていると、歌舞伎やす隊員と見慣れぬ家族が2組現れる。最近、すっかりベスパというオートバイに凝っているやっさんがベスパ仲間を引き連れて乱入してきたのだ。思わぬ珍客に盛り上がると、さらに、ママレモン加藤とやっさんの河原バンドが始まり、たき火宴会も絶好調になる。  
 
   宴もたけなわになり、いよいよ、満を持して河原サウナが始まった。パンツ一丁になり、サウナテントに飛び込む大人たち。たき火で真っ赤に熱せられた石に浴びせられた水が熱風となり、テント上部に吹き上がる。その熱風ををかき回すために、みんなで立ち上がり両腕を糸巻きのようにぐるぐる回す。すると、ママレモン加藤さんのリードにあわせて、みんなで歌い出す。
♪ぐるぐるぐるぐる ぐるぐるぐるぐる サウナに入っちゃった〜♪
♪ぐるぐるぐるぐる ぐるぐるぐるぐる たのしくなっちゃった〜♪
♪ぐるぐるぐるぐる ぐるぐるぐるぐる パンツをぬいじゃった〜♪

大人も子供も両手をぐるぐる回しながら、こんな歌をうたってよろこんでいる。
 やがて、歌にあわせて、パンツを脱ぎ出す大人たち。その傍らで「お父さん、パンツ脱いじゃダメだよう。」と繰り返す子供たち。いやはや、ぼかしを入れずにUPできる写真でよかった。こんな変なサウナは日本中どこにもないだろうなあ。

 しかし、世の中には2種類の人間しかいないのだ。河原サウナで阿鼻叫喚の馬鹿になれる人間と、馬鹿になれない人間。こういう馬鹿になれる時間と空間をともにできる仲間がいる。それだけで、すばらしいではないか。

 
 河原サウナで上気した体を夜風にさらして冷やし、さらに、たき火宴会は夜更けまで続いたのだった。このファンの集いが来年も再来年も続くことを願って、友よ、また来年も馬鹿になろうぜ。
新人入隊試験にベスパ人乱入、歌って踊れる河原サウナは最高じゃ〜2009.10.24.〜25
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