DRIFTING ON THE NAKAGAWA
 2008年以来3年ぶりの夏合宿を前回に引き続き中禅寺湖で実施した。参加者は,隊長,ろーたす,ゴステロ,無謀松,ke-50の5隊員。夏合宿はなかなか隊員の日程が合わずに毎年流れていたのだが,今年は海の日の3連休に早めに予定したことで,何とか上記の隊員が集まれた。
 それでも,隊長は直前に仕事の瀬が発生し,夕方からの参加。ゴステロ隊員は得意の前日決定ドタ参加,ろーたす隊員は次の日の早朝にとんぼ返りと,隊員を取り巻く状況がみな厳しくなっていることは間違いない。
 しかし,遊びに命をかけるつっぺり隊としては,いかなる逆境窮地泥沼難局をも跳ね返し,夏でも焚き火ができるという焚き火ストの聖地中禅寺湖巡礼に馳せ参じねばならぬと,意を決しての夏合宿決行であったのだ。
 折しも,福島第一原子力発電所の事故で放射能物質による汚染が深刻化する中,ここ中禅寺湖もかなり汚染濃度が高いという情報があり心配されたのだが,我が隊員の中から敢然と放射能に立ち向かう隊員が出てこようとは思いもしなかった。しかも,自前の菌で対抗するとは……果たして軍配はどちらに上がったのか?
 合宿地の中禅寺湖菖蒲ヶ浜キャンプ場に真っ先に乗り込んだのは夏合宿初参加の無謀松隊員であった。ここは,車の乗り入れが不可で,場所も早い者勝ちに自由にとれるため,彼に場所取りをしておいてもらう。ゴステロ,ke-50と午前中に集合。
 ke-50隊員は,集合前に男体山に登頂し,山頂から湖畔の無謀松隊員に俺が見えるかと電話したらしいが,見えるはずがない。確認しようとした無謀松隊員もそうだが,やっぱりバカなのである。
 隊長(ワシ)は,直前に仕事の瀬が発生し,一仕事してから駆けつけたため,夕刻前に到着。
 中禅寺湖は水面標高1269mと日本で一番高い所にある湖であり,夏でもかなり涼しく,夜には焚き火ができるほど冷え込む。この夏焚き火ができる地としてつっぺり隊夏合宿の地に選んでいるのであるが,今年も期待に違わず,実に冷涼で爽やかな風が終始キャンプに吹いていた。この日は,集合が遅かったため,夕食,焚き火で終了する。
 翌日も快晴。ろーたす隊員が早朝到着し,やっと全員そろう。この日は終日どっぷりと中禅寺湖で遊ぶ。快適体験あり,ハプニングあり,つっぺり隊らしい1日となった。
 まずは,対岸の千手ヶ浜探検に漕ぎ出す。透明な湖とくっきりした空が,いやが上でも夏遊び気分を盛り上げてくれる。申し訳ないが,気分は最高である。
 千手ヶ浜は自家用車が乗り入れ禁止になっており,専用のバスか我々のように漕いで来るかしか方法がないところである。従って,熊も当然出る。その分,自然がしっかりと残っており,遊歩道も整備されていてとてもいいところだ。その遊歩道の途中には仙人庵という今時珍しいセルフサービスの休憩所がある。コーヒーを自分で入れて自由に休憩できるのである。我々も散策しながらしっかりと休憩させていただいた。こういう気持ちのいい配慮があるところも中禅寺湖が気に入っている理由の一つである。
 千手ヶ浜を後にして,帰路の途中の名もない浜に立ち寄る。ここは遊歩道の途中でもあるのだが,白い砂浜の奥にちょっとした深い森があり,デイキャンプするにはもってこいの場所なのだ。珍しい動物にも会うことができる。この日は‘てん'らしき小動物が我々の前をびっこを引きながら横切っていった。
 まずは,持参したビールで乾杯をする。が,その場所は中禅寺湖の中である。ライフジャケットをつけて,プカプカと漂いながらビールを飲む。これが実に気持ちがいい。湖の冷たさと浮遊感ときっぱりとした夏空の三大快感責めである。ここでも申し訳ないが気分は最高である。あまりに気持ちよすぎて,なかなか湖から出ることができず,ビールを飲み干すまでじっくりと快感を味わう。しかし,端から見ると,まるで酔っぱらったラッコである。こんな事を人での多い海でやっていたら,すぐにもライフセーバーがやってきてこっぴどく叱られるであろう。
 ひとしきり湖で漂った後,持参した素麺で昼食をとることにする。しかし,準備をしてきたke-50隊員がとんでもない忘れ物をしてきたことに気付く。なんと麺つゆを忘れたのだ。仕方がないので,隣のグループに調味料を分けてもらいに行ったのだが,入手できたのは塩だけであった。それでも何もないよりはいいだろうと,茹で上がった素麺に塩をかけて食すと,これが意外といけるのだ。つっぺり隊特製塩素麺である。最近は塩キャラメルや塩ソフトクリームなどがブームになっているらしいので,塩素麺もいけるのではないかと考えたりもしたが,まあ,麺つゆがあるのにわざわざ塩だけで食する者もいないだろう。これも,中禅寺湖の名もない浜で食べたからうまいのだ。
 塩素麺で腹を満たした後,昼寝をして帰路に。焚き火用に流木を船に積んで出発する。風がだいぶ強くなってきたので,一直線に菖蒲ヶ浜キャンプ場へと向かう。ところが,無謀松・ke-50のタンデム艇が岸に近づき,無謀松隊員が上陸し始める。何かいい薪でもあったのかと思っていると,おもむろに無謀松隊員がパンツを下ろして湖面にしゃがみ込む。野糞である。どうやら,ぷかぷかと湖に長くつかりすぎていたためか腹がくだってしまったらしい。
「何やってるんだよ!」
「緊急事態なんですよ。もういっぱいいっぱいで。ここなら水洗便所代わりになるかと」
そりゃあ,本人にとっては切羽詰まった事態なのだろうが,つっぺり隊にとってこんなおいしい場面はない。ここぞとばかりに写真を撮りまくる。
「しかし,ここは放射線の値が高いと言われてるんだろう。そこに,体の中で一番セシウムを吸収しやすそうな粘膜を湖水につけて大丈夫なのかあ。」
「大腸菌があるから大丈夫じゃないすか。」
「うーむ,セシウムVS大腸菌かあ。どっちが勝つか見物だな。」
などど,本人の緊急事態をよそに,のんきな会話を交わす隊長と隊員たち。大腸菌と放射能を同じレベルで考えることしかできないとは。やはり,みんなバカなのである。
 充実した中禅寺湖探検を終えた後,日光湯本温泉に風呂に入りに行く。さっぱりした後,宴の準備に入る。昨夜思った以上に薪を使ってしまったため,湖畔に薪を探しに行き,閉鎖したプリンスホテルの桟橋の破片を担いで持ってきて,焚き火台にくべられる大きさに切り分ける。が,今度は薪が多くなりすぎ,燃やし尽くすため深夜まで盛大な焚き火となる。真夏にこんな焚き火ができるのもここだけであろう。湖畔を照らす月も明るく,この上なく怪しい夜は更けていったのだった。
 翌日は,早朝から三々五々隊員が帰路につく。久しぶりの中禅寺湖合宿であったが,思った以上のつっぺりネタ満載の充実した合宿であった。やはり,中禅寺湖はいい。これからはこの合宿を定例にしようと申し合わせて解散したのであった。
中禅寺湖ぷかぷか麦酒〜珍味塩素麺〜セシウムvs大腸菌 気分爽快夏合宿 2011.7.16〜18
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