DRIFTING ON THE NAKAGAWA
不沈艦伝説に終止符をうたれた鬼怒川にリベンジを果たすべくつっぺり隊有志で出撃 05.111.12〜13
 2005年、初挑戦の鬼怒川の前に不沈艦伝説は破られ、途中退却せざるを得なかった9月から早1ヶ月。今年の内にリベンジを果たすべく、つっぺり隊で有志を募り、鬼怒川にリベンジバトルに出撃したのだった。集まった隊員は、ビール艦長、コロコロ、ゴステロ、おじじ隊員と隊長(ワシ)の5名。血まみれになっても今度こそ最後まで下りきってやると気合いを入れて鬼怒川に乗り込んだのだったが…
鬼怒川に肩すかし  籠岩〜佐貫の瀬  
 前日から雨が降り出し、今度のバトルは寒く暗い厳しいバトルになることを予想しながら、集合地点の佐貫観音上流に着くと、天気はすっかり回復し、極上の川下り日和になっていた。

  「つっぺり隊にしては珍しくいい天気だなあ」と出発すると、虹がかかる。リベンジできそうな予感に包まれながら、予定地の籠岩上流に着き、下見に下りると、なんと水がないのだ。

 前回不沈艦が張り付いてしまった岩(写真○印)もぽっこり顔を出して、まるで沖ノ鳥島のようである。あんな岩に伝説が破られたのかァ…と情けなくなるほど水がない。
 籠岩に下りてみると、岩が全部露出していて、まるで採石場のようである。ここは本当に川かと疑うほど流れがない。籠岩の瀬もちょろちょろと水がこぼれているだけである。

 「これでは航行不能だあ。鬼怒川もワシらのリベンジに恐れを成したか。」と見下しながらその下流の渕にいくと、なにやらペットボトルが散乱している。マナーが悪いやつがいるなあとよく見ると、花を供えた跡があり、しかも線香まで置いてある。

「これは…つまりここは…」何とも不吉である。ワシらはそそくさとこの場を立ち去り、さらに下流からスタートすることにした。
 籠岩キャンプ場の観光食堂前の河原をスタート&キャンプ地と決め、出航準備をする。ファルトはワシとおじじ隊員。ビール艦長、コロコロ、ゴステロ隊員はポリ艇である。

 「この水量ではほとんど曳いて歩くようかもしれんなあ」とつらいバトルになることを覚悟して出発する。。
 案の定、出発するや否や岩との戦いが始まった。瀬に限らず至る所で岩に乗り上げ、身動きがとれなくなり、曳いて歩く。

 ゴステロ隊員はポリ艇で岩に乗り上げ沈をかまし、横倒れになったまま起きあがれなくなり、危うく水量20cmのところで溺れそうになる。
 漕いでは乗り上げ、曳いては滑り、ほとほと疲れ果て、昼食タイムをとる。すると、最新のGPSを持ってきたコロコロ隊員がまだスタートしてから700mくらいしか来てないことを発見。それはないだろうと後方を眺めると、確かにスタート地点に置いてきたワシらの車(○印)が見えるではないか。いやはやまったくこんなに短い距離で昼食したのは初めてである。GPSによるとゴールまではあと5km近くあるというのに、この先が思いやられる展開になってしまった。
 しかし、暗に反して、ここから先は穏やかな流れが続き、澄んだ水と両岸の紅葉を眺めながらのなかなか快適な旅が続いた。

 ポリ艇組はホイール回しやバウステなるつっぺり隊では禁じ手となっている技まで繰り出す余裕もあった。

 2・3カ所、鬼怒川の片鱗をやや感じることができる瀬があったが、水量さえあればここはかなり白波とスリルの楽しめる豪快な瀬になるのだろうなあと実に残念であった。

 最後の佐貫の瀬も曳いて歩くことが予想できたので、ビール艦長とゴステロ隊員以外はキャンセルして上陸。血まみれバトルを覚悟してリベンジに来たものの、あっさりと肩すかしを食らわされたようなバトルであった。しかし、鬼怒川はこの後にしっかりと罠を用意して待っていたのである。
鬼怒川の罠  スタックという名の陸沈
 川霧の湯でゆっくりと沈談義をしてから、スタート地点に戻り、キャンプの用意をしていると、観光食堂のおっさんが出てきて「この河原は5時までと決められているから、上にある籠岩キャンプ場を使いな」と言いに来る。誰がそんなこと決めたんだァと、とりあえずキャンプ場の管理人はどこにいるか食堂に聞きに行ったら、その食堂が管理しているという。何のことはない、自分のキャンプ場を使わすために難癖をつけたのである。しかし、ここで喧嘩をしても不愉快なキャンプになるだけなので、場所を変えることにする。

 すると、ちょうど18号歌舞伎やす隊員が仕事の現場から寄ってくれ、合流して前回のバトルのスタート地点の鬼怒川ゴルフクラブ下の河原に移動する。しかし、ここで鬼怒川は最後の罠を仕掛けていたのである。
 先頭で河原に下りていったビール艦長の車がスタックしてしまったのだ。全員で押してみたものの全くダメ。こりゃ徹夜で車の下の砂を掘り返すしかないか、ビール艦長はホイール回しなんて禁じ手をやってたから鬼怒川の神様に意地悪されたんだなと一人納得していたら、「大丈夫、プロに任せなさい」と建築現場監督のやす隊員が力強くのたまう。

 その力に満ちた言葉通り、ほとんど一人で下の砂を掻き出し、三つ編みにして強化した虎ロープを使い、自分の車で引き上げ、見事砂地から脱出させてしまったのだ。まさに、このためにやす隊員はやってきたようなものである。これは多分、鬼怒川の神様の意地悪に憂慮した那珂川の神様が救いの手を差し伸べてくれたのであろう。それにしてもやす隊員は凄い。日本一の現場監督である。
 陸沈騒動も収まり、日もとっぷりと暮れてくれば、あとは焚き火とビールと鍋のゴールデンタイムである。焚き火をおこし、まずはビールで乾杯する。

 この日の鍋はスタック鍋。まあ、いろいろな具が闇鍋の中にスタックしているといういつもと変わらない鍋なのだが、川で沈をし、陸で沈(スタック)をし、それを肴に飲みながら食べれば、何でもおいしいのである。それにオレンジの彩りを添えるのが焚き火なのだ。

 後でわかったのだが、この日の鬼怒川の水量は前回より2mも低かったらしい。これではとてもリベンジを果たしたとは言えないし、本当の鬼怒川の豪快さを味わってみたい。来年の雪解けの頃に再度挑戦することを誓うつっぺり隊の面々なのであった。でも、きっとひどい目にあわされるんだろうなあ…
inserted by FC2 system